「お腹がすいていないのに食べてしまう…これって病気?」
それは、“エモーショナルイーティング”という症状かもしれません。
満腹なのに食べてしまう理由や改善する方法を、お医者さんに聞きました。
監修者
経歴
福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
お腹がすいていないのに食べるのは“病気サイン”かも
お腹がすいていないにもかかわらず食べ物を食べるのは、ストレスや不安を紛らわす行為のあらわれで、「エモーショナルイーティング」という状態です。
なぜ、お腹が空いていないのに食べてしまうの?
食べることで、ぐるぐる思考のネットワークが抑制されてストレスへ思考が集中している状態から、食べることに思考を移動することができます。
不安・寂しさ・不満・イライラなどのストレスを感じているときには、ぐるぐる思考のネットワークであるDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)が過活動になります。
“食べる”という行為は、手軽にストレスを解消し、DMNから離れることができるため、エモーショナルイーティングを繰り返してしまいがちです。
習慣化すると、自分ではコントロールができなくなります。
エモーショナルイーティングをセルフチェック
エモーショナルイーティングに心当たりがある方は、次のチェックリストを使って診断してみましょう。
- 不安・寂しさ・不満・イライラなどのストレスを感じると、食べてしまう
- ストレスを感じたときに何かを食べると、心が落ち着く
- ストレスを感じたときに食べることがよくある
- ストレスを感じたときに脂質や糖質の多いものが食べたくなる
チェックリストに1つでも当てはまる人はエモーショナルイーティングかもしれません。
心療内科など医療機関に行って相談しましょう。
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2020-05-21
初めて心療内科に行くけど…実際には何を話すの?
心療内科で初診を受ける際の流れについて、お医者さんに聞きました。
当日準備していくことをはじめ、初診でかかる料金、診断書はもらえるのかどうかも解説します。
心療内科の初診の流れ
初めてで緊張する方もいらっしゃるかと思いますが、基本は一般の内科などと変わりません。
問診→診察という通常の病院受診と同じ流れで行われます。
<治療開始までの流れ(一例)>
電話やウェブで予約
来院、問診表を書く
診察を受ける
必要であれば検査
治療の開始
心療内科の予約のしかた
電話予約が一般的かと思われますが、最近ではウェブ予約ができるところも増えてきています。
時間がなくて電話ができない、電話が苦手という方でも予約することができます。初診は日時が決まっているところが多いため、調べてから行くのがよいでしょう。
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受診前に準備しておいたほうがいいことはある?
次のことが伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
今、何に困っているのか
受診に至った経緯
いつから困っているのか
どのようなときに、どのような症状がでるか
思い当たるストレス要因 等
初診で聞かれること
(症状や状態にもよりますが)ストレス要因に関連するような質問をされる可能性があります。
例えば、家族との関係や本人の職業・仕事内容、交友関係や休日の過ごし方、趣味などの話です。あくまで関連のある事柄に対してなので、あまり言いたくないことは言わなくても大丈夫です。
いずれにしても専門家がお話を聞くので、安心して相談してみてください。秘密は守られます。
初診で持っていくもの
心療内科の初診には、次のものを持参すると良いでしょう。
保険証
お薬手帳(あれば)
現状「困っていること」や「医師に相談したいこと」を受診の経緯をスムーズに話せるようにメモを持っていくのもよいでしょう。
初診の費用目安
自己負担3割の方で、初診時は約2,500円~3,000円、2回目以降は1,500円程度です。
薬を処方された場合、診察とは別に薬代が5000円前後かかります。
検査を行った場合には別途1,000~3,000円かかりますが、検査の種類にもよります。
こんなときは、悩まず心療内科に相談してください
「ストレスで胃が痛い」「悩み事があり夜眠れず、不眠気味だ」「ストレスが多く髪が抜ける」「イライラが収まらない」などの症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。
心配事や悩み事、ストレスがあり、気持ちや情緒が不安定で「いつもと違う」と感じられているのであれば、受診することをお勧めします。
辛い、苦しい、不安な状態を長く我慢してしまうと、症状がより重いものになる可能性もあります。
早期受診のメリット
早期に治療を始めることで、治療期間が短く済む、正常な状態に戻るのも早くなる、通院の回数や医療費も安く済むというメリットがあります。
ストレスが要因の病気は特に、放置し続けることで症状が悪化してしまうケースが多く、うつ病もそのうちの一つです。
何よりも、軽い症状のうちに治療を受けた方が心身の負担もあまりかからずに済みます。
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はじめての心療内科「よくある質問」
「診断書はもらえるの?」「心療内科に行ってはいけないと言われるのはなぜ?」
心療内科に関するよくある質問にお答えします。
質問1.診断書が欲しいのですが…
休職等の申請に診断書が必要な場合、すぐにもらえるものなのでしょうか?
診断書は本来診断がついて初めて発行されるものです。しかし診断書は医師に申し出れば、比較的速やかに発行されるところも多いです。
休職や職場に提出が必要な書類として、すぐに必要な場面が多いためです。病院によっては別に窓口が設けられている場合もあるため、受診の際に確認すると良いでしょう。
質問2.よく「心療内科に行ってはいけない」と言われるけど…
「行ってはいけない」「行ったら最後」と言われているのは、なぜなのでしょうか?
「行ったら最後」ということはありません。
そう言われるのは、精神科や心療内科のお薬を服用すると、患者さん自身の判断で勝手にやめることができず、飲み続けなければならないことが要因となっている可能性があります。
もしくは、薬の副作用が強くて日常生活により支障が出るなどという想像での発言かもしれません。
また、精神科・心療内科に行って診断を受けた時に、自分が精神病患者なのだと認めてしまうのが怖いと思ったり、周りの目を不安に感じる方もいらっしゃいます。
精神科や心療内科は、重い精神疾患を持つ人が行く場所というネガティブなイメージが少なからずあるというのが背景にあるようです。
つらい時は我慢せずに病院に行った方が良いのでしょうか?
ネット上でも多くの情報が錯綜していますが、自分の体の声を聞き、本当に辛い、苦しいと感じていて、日常生活に支障が出ているのであれば、相談だけでもいいので受診してみてください。
実際に、精神的な症状や心身症が現れているにも関わらず、受診を躊躇している方が多くいらっしゃいます。
しかし、自己判断で市販の漢方薬などの薬を飲み続けていたとしても、根本的な治療にはなりません。その点、専門の医師に相談することで、症状の要因をふまえた治療を受けることができます。
一人で抱え込まずにまずは相談してみましょう。
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参考URL
・心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやすく解説!/ひだまりこころクリニック栄院
https://hidamarikokoro.jp/sakae/blog/心療内科で初診を受ける場合の流れを分かりやす/
・精神科・心療内科の診察料金 | こころみ医学
https://cocoromi-cl.jp/knowledge/other/psychiatry/cost/
・診察にはどれくらいの費用がかかりますか? | 心療内科・精神科
https://namba-minato.com/faq/faq09/
・心療内科に行くべきかどうか迷う。受診すべき兆候とは?/神楽坂こころのクリニック
https://www.kagurazaka-mc.com/colum/psychosomatic-medicine/
エモーショナルイーティングが招く病気
エモーショナルイーティングが習慣化するとコントロールができなくなり、「生活習慣病」「うつ病」「摂食障害(過食症・拒食症)」など病気を引き起こす可能性があります。
生活習慣病
エネルギーの過剰摂取により肥満になったり、糖尿病・動脈硬化症・高血圧・脂質異常症など生活習慣病を引き起こすことがあります。
うつ病
食べたいわけではないのに、食べてしまう。自分で自分をコントロールできず自己肯定感が低下するなどで落ち込みやすくなり、うつ病へつながることもあります。
摂食障害(過食症)
摂食障害には食べない「神経性やせ症/神経性無食欲症(Anorexia nervosa:AN)と」と極端に大量の食べ物をとる「神経性過食症/神経性大食症(Bulimia nervosa:BN)に」の2つがあり、どちらも「食事」のことを常に考えている状態が多いです。エモーショナルイーティングは「神経性過食症」や「神経性やせ症の過食排出型」に当てはまることが多いです。
ストレスを感じた際に過食したい衝動にかられ、食べている最中は何も考えずにフラットな気持ちでいられます。
しかし、食べた後に猛烈な自己嫌悪に陥り、無理やり嘔吐したり、下剤や利尿剤を使って排泄したりすることもあります。
嘔吐を繰り返すことで出血したり、唾液腺が腫れたり、吐きだこができたり、歯がボロボロになるリスクなどもあります。
どうやって克服する?
エモーショナルイーティングを克服するために、ご自身で4つのことを意識しましょう。
- 極端なダイエット(食事制限)をやめる
- 3食以外の時間に食べ物を近くにおかない
- 食べること以外に熱中できるものを探す
- ストレスは溜めずに発散する
極端なダイエットをしていると、反動で食べ過ぎてしまうことがあります。
食べ物が目につくところにあると食べてしまうので、食べ物は棚の中に収納するなど、見えるところに置かないようにしましょう。
ストレスを溜めない方法は?
- 規則正しい生活を送る
- 栄養バランスの良い食事を3食とる
- 睡眠を1日7時間以上とる
- ウォーキング・ジョギング・水泳など有酸素運動を30分程度行う
などを心がけましょう。
こんなときは医療機関で相談しよう

- エモーショナルイーティングをやめられずに、辛いと感じている
- たべないとソワソワしてしまい、食ベタ後には嘔吐しないと気持ちが悪い
といった行動がみられる場合は、心療内科や精神科など医療機関を受診しましょう。
単なるエモーショナルイーティングではなく、「摂食障害」のケースがあります。その場合、治療が必要になります。
どんな治療を受けるの?
今のところ、エモーショナルイーティングに対する直接的な治療方法はありません。
ストレスに対してカウンセリングをおこなったり、食べなければソワソワしてしまうような焦燥感などをTMS治療で調整することもあります。
「摂食障害」を起こしている場合は、必要に応じて入院や、お薬の治療、栄養療法などを行うことに加え、カウンセリングなど「心理療法」を中心に行い、心と体の回復を目指します。
早期受診をおすすめする理由
放っておくと、日常生活に影響が多く出始めたり、自分で自分を傷つけるような行動や考えが浮かんだりします。
早めに医療機関で相談することで、自分で自分をコントロールできるようになり気になる症状を抑えられたり、治療期間を短くすることができる可能性があります。早めに医療機関を受診し、相談すると良いでしょう。
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2021-08-05
「食べても食べてもお腹いっぱいにならない…」
この症状の原因を、お医者さんに聞きました。
隠れた病気の可能性についても、併せて解説します。
病院に行く目安や、受診すべき診療科をチェックしましょう。
なぜ?食べても食べてもお腹がいっぱいにならない…
空腹感は、脳や体の状態に多くの影響を受けて発生するため、単純に食べた分だけ満たされるというものではありません。
不規則な生活習慣やちょっとした体調の変化によって、満腹感が得られないこともあります。
よくある原因としては
ストレス
生理
などが挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
よくある原因① ストレス
過度のストレスによって、体が通常の感覚を失うと、満腹を感じにくくなる場合があります。
また、ストレスで過剰に食べる癖がついてしまい、満腹感を振り切ってまで食べないと満足できなくなる人もいます。
ストレスで起こる症状
集中力の低下
疲れやすい
肩こり、首こり
頭痛、めまい
吐き気、胃もたれ
よくある原因② 生理
生理に伴うホルモンバランスの変化で、満腹を感じにくくなる場合があります。
生理前は、優位の女性ホルモンが「エストロゲン」から「プロゲステロン」に変わります。
プロゲステロンは、妊娠して赤ちゃんを育てるために必要なホルモンですが、空腹を感じやすくなる作用もあります。
そのため、特に生理前に食べ過ぎてしまう人が多いです。
生理で起こる症状
胸の張り感
腰痛
肩こり
便秘
疲労感
ニキビ
いくら食べても満たされないときの対処法
睡眠時間をしっかり確保する
よく噛んで食事をとる
対処法① 睡眠時間をしっかり確保する
たっぷり睡眠や休息を取ると、ストレスが減り、通常の量の食事で満足するようになります。
また、質の良い睡眠も大切です。
夕食は、就寝の3時間前に終えるようにしましょう。
眠る前にはスマートフォンやPC、テレビの使用を控え、代わりに本や雑誌を読むと、副交感神経が優位になって睡眠の準備を行います。
朝起きたら、カーテンを開けて朝日を浴び、スッキリと目を覚ましましょう。
朝ごはんを食べて交感神経を働かせると、自律神経が整い、ストレス症状が軽減します。
対処法② よく噛んで食事をとる
食事をよく噛むと満腹中枢が働くため、「お腹がいっぱいだ」というサインが脳に送られやすくなります。
固いものや野菜、歯ごたえのあるものをメニューに取り入れてください。
スープや柔らかいものは満腹感を感じにくいため、ほどほどにしましょう。
満腹にならないのは「病気サイン」かも…
食べても空腹感が満たされない場合、
過食性障害
バセドウ病
などの病気が隠れているケースもあります。
<過食性障害>
摂食障害の1つで、食べ過ぎて気持ち悪くなるくらいまで食べる、早いペースで食べるなど、明らかにほかの人よりも多く食べすぎてしまう状態で、自分で食事のコントロールが難しくなってしまい、肥満の傾向にあります。
また、似ているものとして神経性過食症がありますが、この場合は食べ過ぎたり、食べ過ぎたものを吐き出したりを繰り返す病気もあります。
両者ともストレスが要因とされていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
<バセドウ病>
甲状腺機能が亢進し、甲状腺ホルモンの分泌が高まって代謝が高くなるため食欲も増進します。
食べても太りにくいのが特徴ですが、消費エネルギー以上に食べ続ければ太ります。
こんなときは病院へ
週1回以上過食を続けているのが3ヶ月続いている
食べ過ぎた後、嘔吐や下剤などを使って排泄している
明らかに食べ過ぎているのに体重が増えない
日常生活に支障がでている
といった症状があるときは、医療機関を受診しましょう。
病気が隠れていた場合、悪化すると重い合併症を起こしたり、手術が必要になるケースもあります。
負担の少ない治療を避けられるよう、早めの受診をおすすめします。
何科で受診すればいい?
食べてもお腹いっぱいにならない症状は、まず内科で相談しましょう。
内科を受診すると、検査・診察によって体に異常がないか調べてもらえます。
内科を探す
※記事中の「病院」は、クリニック、診療所などの総称として使用しています。
▼参考
糖尿病 厚生労働省